from百木根

工房より季節の便りを発信します。

2018年

11月

06日

四季の便り

藤袴(フジバカマ)

秋雨の工房を歩くと、ふわりと香る草花があります。葉とともに赤く色づいた藤袴でした。
今年は蕾がまだ開かず紅葉の季節を迎えてしまいましたが、優しい香りで秋の深まりを教えてくれます。

藤袴はキク科の植物で秋の七草にも数えられ、色々な蝶が好む花としても知られています。
晩秋になると花の少ない季節ですから、香りに誘われやって来るのでしょうか。陽だまりにひらひらと舞う蝶の姿が想われます。

なに人か きてぬぎかけし藤袴 くる秋ごとに 野べをにほはす(古今集)

2018年

3月

24日

四季の便り

猩猩袴(ショウジョウバカマ)

 

能楽の猩々から名を付けたショウジョウバカマ。

猩々は中国の伝説上の動物で、猿と人間の間のような姿をしています。

毛は赤色で、大酒呑み。毛玉のような、独特の花を猩々に見立て、葉を袴に見立てて付けられました。

 

百木根の酒杯には、酒樽と真っ赤な顔をした猩々、柄杓を手に持ち月を眺める姿で描いたこともありました。暖かな春の月明かりの下、花は何を想うのでしょう。

2017年

8月

29日

四季の便り

ホテイアオイ

立秋が過ぎ、涼しい風が吹き始めました。

 

水に浮かぶホテイアオイは、メダカとともに水の中で揺れています。

 

メダカの子供達も根の間から顔を出したり引っ込んだり。

天気のいい日はより元気に動き回っています。

 

風神雷神の器に布袋様、何とも賑やかな組み合わせとなりました。

 

2017年

6月

17日

四季の便り

卯の花

白い星型の花を鈴なりにつけ、早朝より沢山の虫達を呼び寄せています。
この時期の山道の脇には、卯の花が垂れかかるように咲き誇っています。

卯の花は、卯月(旧暦の四月)に咲くことからこの名がついたと言われています。
別名ウツギといいますが、これは幹の中が空洞であるから空木。葉が落ちてからの冬場の剪定では、木の名前が分かりにくいのですが、空洞があるとすぐにウツギと分かります。

卯の花も いまだ咲かねば ほととぎす
佐保の山辺に 来鳴きとよもす
《万葉集巻8-1477》

ここ恵那の山里も、ホトトギスの声が響き渡っています。

2017年

3月

21日

四季の便り

マンサク

春分も過ぎ、太陽と共に過ごす時間も増えてきます。

マンサクの名前の由来は、春に「まず咲く」からとも言われます。
花がよく咲けば豊作、咲かなければ不作と、作柄を占う植物として古より人々と深い繋がりがあったようです。

次はに花を咲かせるのは、山茱萸(さんしゅゆ)でしょうか。
蕾が膨らんできました。

2016年

10月

31日

四季の便り

茶の花

常緑の葉に、真っ白な花。おしべの黄色がほのかな温かみをそえます。

風景が褐色になっていく中、目に眩しく映ります。

 

茶の湯ではこの時期、口切りの茶事が行われます。

全てを一新する茶人の正月として、炉を開き茶壺を開けるのです。

初夏に詰めたお茶は熟成により味もまろやかに。

冬の初め、臼でひきたてのお茶を楽しむ贅沢な時間です。

 

2016年

10月

18日

四季の便り

栗名月

晴れた夜空に 、十三夜の月が少し控えめで奥ゆかしく輝いていました。

旧暦九月十三日の月を栗名月と呼びます。

中国伝来の八月の中秋の名月に対し、日本独自の風習だそうです。

収穫物に合わせ、十五夜には里芋等を、十三夜は栗や豆を供えるようです。

 

明るい月に誘われて野を駆け回る兎です。

十三夜と先日の眩しいくらいの満月に、いつもより大きめの月となりました。

2016年

10月

01日

四季の便り

栗鼠

雨続きの中、久しぶりの晴れ間に遊びにきたのでしょうか、栗鼠の子供たちです。

椎の木の枝から枝へ、随分と追いかけっこを楽しんだ様子でした。

 

栗鼠は子孫繁栄の吉祥文として葡萄とともに描かれることが多い動物です。

とくに日本では、『武道(葡萄)に律す(栗鼠)』の語呂合わせで

刀にも装飾されていたようです。

 

先日訪ねた美術館で、水滴に葡萄が描かれていました。

あの葡萄にこの栗鼠たちを走らせたら、

かわいらしい文様になりそうです。

 

2016年

9月

17日

四季の便り

山栗

森の中で思いがけず大きな音に出会うことがあります。

今の時期は山栗やどんぐりが、大きな木の枝先より落ちてくる音です。

 

静かな森の中では驚き身構えてしまいますが、そうと分かっていれば

実りの秋の楽しみな音に思えてきます。

 

今朝はリスが木を揺らし、枝から枝へと渡っていきました。

きっと大きな栗の木の下に向っているのでしょう。

 

三栗の那賀に向かへる 曝井(さらしい)の 絶えず通はむ そこに妻もが

(万葉9巻1745)

 

2016年

8月

31日

四季の便り

蔓竜胆(ツルリンドウ)

台風が過ぎ去ったとたん、冷たいとも感じる風が吹いています。

山里ではツルリンドウが、草を頼りに蔓をのばし、可憐な花を咲かせています。

花はあまり目立ちませんが、秋になると赤紫の美しい実をつけます。

 

 

2016年

8月

17日

四季の便り

オクラの花

オクラの花が咲きはじめました。

とても美しい黄色の花ですが、刻んで、ポン酢、お醤油などを少し。

粘りけがあり、とて美味しい、この時期だけの楽しみです。

2016年

8月

01日

四季の便り

木槿(むくげ)

木槿の花が咲きだしました。

 

「展転(こいまろ)び 恋ひは死ぬとも いちしろく 色には出(い)でじ 朝顔(あさがほ)の花  巻10-2274」

 

万葉集では、朝貌(あさがお)は、むくげのことを指しているともいわれています。

色鮮やかな木槿の花。その花を引き合いにだして、「恋に焦がれて死ぬようなことがあろうとも、顔色には出すまい。 人に悟られぬようにしよう」と熱い恋心をうたにしています。

木槿の花は華麗な花ですが、きわめて短命です。茶人はこのひとときの命を茶花の神髄と貴び、夏の茶花として愛好しています。